【名前】オリエント・ラン 【愛称】
【生年月日】1987年3月30日【性】騸
【品種】アングロアラブ 【毛色】栗毛
【出生地】福島県田村郡三春町
【父】セイグン(アングロアラブ)【母】ワイドヒロ(サラブレッド)
■□半生紹介□■
平成25年12月26日入厩
2歳~3歳くらいの頃、岩手大学馬術部にやってきて以来、20年近く乗馬の厳しさを数々の学生たちに知らしめてきた馬術部の「登竜門」的な存在。
頭が良く、プライドも高く、「自分を馬だと思っていない」と言われるほど、人間、特に乗馬初心者には厳しいオリ。新入部員はまたがることすらできなかったとか。
またがれるようになったとしても、そこからがまた戦い。なんとか試合に出られるようになっても、賢いオリは「失権」の要因を知っており、時にはベルが鳴るまで動かず、時にはわざと失敗し、簡単にはゴールを切らせてくれなかったそう。
当初は障害飛越がメインだったこともあり、障害の飛越はお手の物。幾度となく馬場の柵を飛び越えては脱走してしまったそうで、オリを放牧する際には自転車などでガードを作ったり、部員たちは必死だったようです。歳を重ねてからは、部員曰く「障害飛越競技を自ら引退しました」。障害飛越の競技には出なくなったものの、脱走癖は消えず、当牧場にやってきてからも、柵を飛び越えて2度脱走しています。
馬術部時代の晩年は馬場馬へ。その賢さから、馬場馬術においては経路等を自ら覚え、上手な人が騎乗すれば、セントジョージクラスも踏めたそうで、貴重な馬場馬として、長らく岩手大学馬術部を支えてきました。
正直、単純に「かわいい」とは言えないような性格のオリ爺ですが、乗馬の厳しさや、それを乗り越えた後の達成感、楽しさ、嬉しさを感じ、オリに成長させてもらったという部員が多く、当牧場で最も面会客が多くやってきます。
加齢とともに食が細くなり、晩年は幾分か性格も丸くなったオリですが、それでも気高さと、プライドの高さは最期まで健在でした。
平成29年6月6日、2晩も寝たきり過ごした後、眠るように息を引き取りました。
老衰による心不全に加え、息を引き取る3日前に発症した後肢のフレグモーネにより、一度寝てしまってから起き上がれなくなってしまったオリ。しかし、最後の最後まで生きることをあきらめず、寝たままの状態でも必死に餌や水を欲しがり、動かない足で必死に立とうとする姿は、本当にオリらしいものでした。
生きることも難しいですが死ぬことも難しい、そんなことを教えてくれた馬でした。
最期までありがとう。
天国でもたくさんの武勇伝を作ってね。